>English

ABOUT
コンセプト|Concept

Behind of HUMAN “人間”とは。

JCDNの国際ダンス・イン・レジデンス・エクスチェンジ・プロジェクトの第二弾は、韓国を拠点に活動するアーティストJung Young Doo氏を迎えて、福岡で作品を作り上げる。今回はひとつのテーマのもとに、ダンス、演劇、美術、音楽、映像、テキストなど様々な分野からアプローチし、人間を形成している思想、肉体、感情など全てを掘り下げた作品作りを目指す。

コンセプトは“HUMAN”。一人の人間を形成している、国籍、言語、感情、感覚を超えて、一個人として人間と向き合う。もちろん、簡単なことではない。だが、表現者・アーティストであるからこそ、その壁を越えられるのではないか。Jung YoungDoo氏は、一人の人間として、日本と、福岡と、そしてそこに存在する土地、風土、歴史、そこに住む人々と向き合い作品に仕上げていく。このプロジェクトで作り上げるものは、作品であり、思想でもある。全てをフラットにし、ただそこに在る人間だけを見つめていく。

2007「博多灯明ウォッチング」ショーイングより
振付:チョン・ヨンドゥ

メッセージ|Message

招聘アーティスト/チョン・ヨンドゥ

人間は、だれでも自分が生まれた環境、家族、国籍、国家などさまざまなカテゴリーの中に属すと同時に、そのどこにも属されない一人の個人である。自分をとり囲んでいる歴史と事件が多ければ多いほど、自分のアイデンティティについて悩むことになる。しかし平坦な人生を歩んできた人であっても、だれもが一生自分のアイデンティティについて悩む。そして、何の偏見もないまま自分を見て欲しいと望む。福岡と釜山を行き来しながら感じたことをベースに作品を作ってみたいと思った。私は個人だ。しかし、日本に来ると個人でありながらも韓国人になってしまう時もある。すべての人々がお互いにもっとも平等な立場で出会える瞬間は、もしかすると出身、国籍、歳、性別などから離れてごく一人の個人と個人で会うことではないかと思う。もちろん、そういう出会いは非常に難しいことだとは知っている。

われわれは一人の個人を見て、その人自体を見ようとするよりもその人が育てられた環境、国籍、出身地などを通して、感じようとすることが多い。なぜそうなってしまうのか?そのような壁を乗り越え、ただの人間と人間で出会えて感じることは出来ないのだろうか?この質問が、今私が抱えている一番の悩みであり課題でもある。ある意味、ごく当然で理想的な質問かもしれないが、私は、いつも理想だけが現実を変えることができると信じている。

今回のプロジェクトではダンスを通して、人間の体を通した共感の可能性を、演劇では言語の力を借りて社会と個人の寂しさと矛盾を表現してみたい。また美術や映像、テキストなど様々な媒体を通して、このような考えの行方を模索したいと考えている。

ディレクター/ 佐東範一(NPO法人JCDN )

2012年4月にヨンドゥ氏が福岡を訪れた。ちょうどその日は、東京・日本橋からトルコのカプクレという街を結ぶ現代のシルクロード“アジアン・ハイウェイ”の、唯一の海の道である「博多-釜山」の開通記念の日であった。ヨンドゥ氏は、博多港から沖に出て行く船、沖から入ってくる船、人やモノが海を渡って運ばれてくるのを、飽きもせずボーと眺めていた。
古の時代、中国の文化が韓国を経由して、博多を入り口として日本に広がっていった。様々な時代を経て、現在、飛行機で博多からほんの1時間でソウルに着き、インターネットが世界中を駆け巡る。
何か大事なものを見落としてしまっているのかもしれない。政治でも経済でもない、アーティストの視点でしか見えない日本と韓国のあいだの未来に向けた“道=アジアンロード”を探したいと思った。

プロジェクトメンバー| Project member
youngdoo
Resident Artist
総合演出/演出・振付・脚本
チョン・ヨンドゥ
Jung Youngdoo

演劇を学んだのち舞踊を学び、振付家・ダンサーとして韓国を拠点に世界各地で活躍。

2004年「横浜ダンスコレクション」にて、横浜文化財団大賞ならびに駐日フランス大使館特別賞を受賞、フランス国立トゥルーズ振付センターにて研修する。

「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」での講師、松田正隆演出の演劇作品『ディクテ』出演など日本での活動多数。

福岡での活動は2007年「博多灯明ウォッチング」でのワークショップ&ショーイング、2008年「アジア・コンテンポラリーダンス・ナウ!」出演につづき3度目。

Doo Dance Theater主宰。

youngdoo
Music

音楽

パク・ジェロク
Park Jerok

作曲家。演劇作品やダンス作品の音楽を手掛けるほか、iphone用の音楽アプリの制作もおこなっている。韓国の伝統音楽バンド『Baramgot』、伝統音楽+アンビエント・ミュージックバンド『Ambient World』、ワールド・ミュージックのグループ『Acoustic World』のメンバーでもある。韓国芸術総合学校Music Technology学科修士。
youngdoo
Actor

俳優

美和 哲三
Miwa Tetsuzo

北九州市出身。九州大学文学部美学科中退後、文学座付属演劇研究所を経て、劇団昂にて活動。東京にて舞台及びTVに多数出演。帰福後、「父と暮せば」「セロ弾きのゴーシュ」、映画「悪人」など出演。その他、ハウステンボス「千年の街のクリスマス」ショー演出、TV「Dr.クラナガン」やラジオ「絆よ、悠久なれ〜孫文と九州人〜」等の脚本も執筆。
現在「14+」に所属。
youngdoo
Dancer

ダンサー

伊藤 大輔
Itoh Daisuke

バレエ、モダン、ジャズ、ストリートなど様々なダンスを学び、音楽ライブでバックダンサーを務めるほか、舞台・CM出演など活動は多岐にわたる。ダンスコンテストにおける受賞も多数。現在はコンテンポラリーダンスを中心に、型にとらわれない踊りを目指す。2012年仲間と『In Lake’ch』(インラケチ)を結成、「踊りに行くぜ!!」Ⅱvol.3福岡公演に出演。avex artist academy講師、JSDA認定講師。
youngdoo
Dancer

ダンサー

緒方 祐香
Ogata Yuka

3歳よりクラシックバレエを武藤純子氏に師事。14歳よりヒップホップやジャズ等を始めイベントなどに多数出演。3年間のNY留学を経て、帰国後は菊地尚子(705moving.co)のもとで、コンテンポラリーダンスを本格的に学びダンサーとして活動。現在フリー。最近では、金粉ショーチームThe NOBEBOのメンバーとしての活動や、障がい者を中心としたダンスグループへの指導などもおこなっている。
youngdoo
Dancer

ダンサー

コン・ヨンソン
Kong Youngsun

1984年韓国生まれ。10歳より伝統舞踊を学ぶ。大学でコンテンポラリーダンスと芸術史を学んだのち、2009年よりチョン・ヨンドゥ氏率いるDoo Dance Theaterに参加、「Craving for More」「A Seventh Man」「Two Sisters」などに出演。韓国芸術総合学校修士課程在籍。
youngdoo
Dancer

ダンサー

末永 クレア
Suenaga Claire

ダンサー。イギリス生まれ、福岡在住。1992年英国ノーザン・スクール・オブ・コンテンポラリーダンス卒業。1994年に来日。2009年より福岡のダンスカンパニー・ワレワレワークスのメンバーとして活動し、2011年イタリアのルッカでの欧州芸術療法教育協会会議で発表された「WArTER」に出演。2012年英国シェフィールド大学大学院東アジア研究科日本研究専攻修士課程卒業。
youngdoo
Dancer

ダンサー

チョ・ヒョンジョン
Cho Hyeoungjun

1984年生まれ。ダンサー。ソンキュンカン大学卒業。Doo Dance Theaterのメンバーとして活動。「A Seventh Man」(2010年)、「プロメテウスの火」(2012年)などに出演。

youngdoo
Youth Dancer

ユースダンサー

イ・ソンジン
Lee Sunjin

1995年生まれ。釜山芸術高等学校2年生。2006年全国舞踊競演大会の群舞部門で大賞受賞、2007年同大会で最優秀賞などの受賞歴を持つ。2011年釜山芸術高等学校に入学し、高校の舞踊団のメンバーとして活動中。
youngdoo
Youth Dancer

ユースダンサー

松井 英理
Matsui Eri

幼少よりバレエ、ジャズ、タップ、ヒップホップ、ブレイキン、フラダンスを習い、日本舞踊や空手等、日本伝統文化を習得。2009年東京なかの国際ダンスコンペティションジュニア部門第3位、2012年横浜ダンスコレクション新人振付家部門ファイナリスト。「踊りに行くぜ!!」Ⅱvol.2平原慎太郎演出・振付『空の街』、vol.3大橋可也振付『フラジャイル・ワールド』に出演。

youngdoo
Visual Art

美術
田中 千智

Tanaka Chisato

1980年兵庫県生まれ。2005年多摩美術大学美術学部絵画学科油画科卒業。現在、福岡県在住。主な展覧会は、2009年「さまようエトセトラ」 九州日仏学館、2010年新世代への視点2010ギャラリー現、「ART AWARD NEXT #1」東美アートフォーラム(東京)、2012年「VOCA展2012 -新しい平面の作家たち」上野の森美術館(東京)、「WATAGATA ARTS FASTIVAL」(釜山)など。
youngdoo
Stage Arts

空間デザイン
津田 三朗

Tsuda Mitsuo

1957年兵庫県生まれ。九州大学芸術学府工作工房技術スタッフ。彫刻を装置または空間的に展開されたドローイングとして意識した作品を制作。同時に舞台や映像の造形制作や空間構成、小道具製作なども手がけている。主な活動は、1995年「水のない八月」(石井聰互監督)特殊造形、1996年「Helpless」(青山真二監督)造形協力、2005~2012年水族館劇場造形美術など。アートスペース千代福メンバー。
youngdoo
Film

映像
泉山 朗土

Izumiyama Rodo

1974年東京生まれ。福岡在住。武蔵野美術大学卒後、現代美術作家、柳幸典に師事。2004年より映像プロダクションとしてドキュメントやCG映像制作のほか美術館向けとして日比野克彦や中ハシ克シゲなどの記録映像を制作。近年、SUSANNORRIE の映像作品の撮影監督としてヨコハマトリエンナーレ2011、Edinburgh International Festival 2009などで発表。

 

youngdoo
Text

テキスト
嶋田 絵里

Shimada Eri

地域文化誌「西日本文化」編集デスク。佐賀県生まれ、福岡県育ち。九州大学農学部林産学科卒。学生時代は木材の研究をしていたが、卒業後は編集の道へ。経済情報誌、子育て情報誌と渡り歩き、2007年「西日本文化」の編集者に。現在、同誌で九州の職人を取材しエッセイを連載中。

 

 

 

 

youngdoo
Text

テキスト
筒井 亜耶

Tsutsui Aya

編集者・ライター。舞台情報誌「THEATER View FUKUOKA」発行人・編集長。福岡県出身。広告制作に携わりながら、2006年「シアタービューフクオカ」を創刊。演劇・ダンスなどの舞台作品、映画など文化・エンターテインメントの分野を中心に編集・ライティングを手がける。
日本経済新聞にて劇評を連載中。

 

 

youngdoo
Translation

通訳
文 芝瑛

Moon Jiyoung

釜山大学校美術学科にて学士・修士(彫刻専攻)を取得し、九州大学芸術工学府にて修士・博士課程(単位修得退学)。現在、日本アジア現代彫刻会会員。福岡を拠点に作家として活動。多数の展示に参加。福岡インディペンデント映画祭アートディレクター。アジアフォーカス・福岡国際映画祭、韓国語通訳。

 

全体統括:佐東 範一(JCDN) テクニカル:内田 正信(アクト ワン)、横山 剛志 制作:横山 恭子・鈴木 詩麻(FFAC)、神前 沙織(JCDN)
Copyright (C) JCDN, Fukuoka City Foundation for Arts and Cultural Promotion 2012-13.